2020年9月28日、ドイツのベルリン市ミッテ区で「平和の少女像(平和の碑)」除幕式が開かれました

【公共敷地】に建てられた「平和の少女像」としては、欧州初となります

日本政府や地方自治体、ウヨウヨさんたちは、こぞってこれを非難しましたが……


「平和の少女像」とは何か?


「平和の少女像」とは、日本軍によって性奴隷にされた女性たち(いわゆる元「慰安婦」)への、日本政府による公式な謝罪・賠償を求める「水曜デモ(日本軍「慰安婦」問題解決のための定期水曜集会)」から生まれた碑です

「水曜デモ」1000回目にあたる2011年12月に建立が呼びかけられ、今では、韓国をはじめ、アメリカやカナダ、オーストラリア、ドイツなど世界各地で50体以上の様々な「平和の少女像」が生まれています
(「あいちトリエンナーレ」で話題になった、あの形だけではないのです)

※なお、日本において「水曜デモ」1000回目の記念を邪魔するために生まれたのが、元在特会幹部の山本優美子さん率いるウヨ団体「なでしこアクション」です※

勘違いしている方もいるかもしれませんが、「平和の少女像」は「慰安婦」問題の解決を訴えるだけの存在ではありません。もっと広く、(戦時下における)女性の人権や平和を希求する象徴ともいうべき存在です

つまり「平和の少女像」は、日本ウヨの認識がどうであれ、【日韓の歴史認識問題】という側面は薄く、【女性の人権の問題】という側面の強い普遍性のある存在だということですね

※もっとも「慰安婦」問題自体が、人権問題という意味合いの強いマターではあります。なかでも特にその傾向が強いのが「平和の少女像」だ、という認識でOKかと思います※

だからこそ世界各国で建設され、また、日韓と関わりの薄い世界の市民からも支持されているのです
(無論、建立を主導するのは現地の韓国人社会が多いです。今回のベルリン市の件では、「コリア協議会」という団体が主に動いています――もっとも「コリア協議会」の構成員は韓国系ばかりではないのですが)

実際に、今回のベルリン市での除幕式でも、【日韓の歴史認識問題】という側面は極めて薄いものでした

除幕式の様子を伝えたハンギョレ新聞の記事から、少し引用させてもらいましょう

"「少女像が世界各地に設置されなければならない理由は、コンゴやアフガニスタン、シリア、ミャンマーで現在も行われている戦時性暴力に目を向けさせるためだ」(インジャ・エシェバフ元ラーベンスブルク市ナチス強制収容所記念館長)"
http://japan.hani.co.kr/arti/international/37901.html

繰り返しになりますが、「平和の少女像」は【女性の人権の問題】なのですね。少なくとも、そういうふうに世界から受け入れられているわけです

では、「平和の少女像」建立に反対しているウヨ連中は、世界からどのように見られているのか?

米国サンフランシスコ市に「平和の少女像」がつくられようとしたとき、ウヨ連中が大挙して市議会に押し寄せ、そのため公聴会が開かれたのですが……



ウヨウヨさんたちに向けられた言葉は"Shame on you(恥を知れ)"というものでした

……これが世界の反応です


日本政府と「平和の少女像」


さて、「平和の少女像」の建設に反対してきたのは、なにも恥知らずなウヨばかりではありません

「平和の少女像」建立計画が持ち上がるたびに、恥知らずな日本政府・恥知らずな外務省が妨害工作を仕掛けてきたことは、「慰安婦」問題に関心のある人々にはよく知られるところです

とはいえ、これまでは日本政府の恥知らずな動きは、あまり表立ったものではありました

現地の公館や日本人・日系人団体(「幸福の科学」関係者多数。特に米国、豪州)を介し、ロビー活動という名の圧力を加えるなどしてきたわけですね

しかし、今回のベルリン市の「平和の少女像」に関しては、恥知らずな加藤勝信官房長官が遺憾を表明し、恥知らずな茂木俊光外相がドイツのハイコ・マース外交長官に正式に撤去を要求したことを会見で明らかにするなど、むしろこれ見よがしな圧力アピールを示しています
(もっともドイツは地方自治が強いらしいので、外交長官に言ってどーすんだか……というマヌケ感がありますが)

おそらく、これは自民党支持者に向けた「安倍晋三さんが首相でなくなっても、韓国には強気でいくぜ!」というアピールなのでしょう

あるいは、2019年の「あいちトリエンナーレ」で、「「慰安婦」像問題で無茶苦茶しても、政権にたいしたダメージは入らない。むしろ普通の日本人は喝采してくれる」と日本政府が学んでしまったため――というのも大きいのかもしれません

また、これまで何度も日本政府の介入により「平和の少女像」設置計画が頓挫してきた経緯を知っている「コリア協議会」は、募金からなにから秘密裏にベルリンのプロジェクトを進めてきたのですが――その結果として、日本政府は慌てて表に飛び出してしまった、ということなのかもしれません

※「コリア協議会」が秘密裏にプロジェクトを進めてきたことを、産経新聞は"日本側の目をすり抜けるため除幕式の案内を直前まで出さないなど、韓国側は「動きをステルス化している」(外務省幹部)"と、まるで悪いことのように表現しています※
https://www.sankei.com/politics/news/201009/plt2010090037-n1.html

いずれにしても、今回のベルリンの件は、これまでの「平和の少女像」建設計画とは様相が違うことは明らかでしょう。2018年フィリピンでの像撤去の際も、日本政府は目立つ動きをしていましたが、ここまで大っぴらなものでなかったように思います

無論、以下のような地味で表立たない圧力も健在です

"日本政府は現地公館などを動員し、ベルリン州議会、州政府、ミテ区などに対してロビー活動を行ったといいます"
http://www.restoringhonor1000.info/2020/10/blog-post_9.html?m=1

恥知らずな日本政府の圧力により、2020年10月7日、ベルリン市ミッテ区は「平和の少女像」の撤去を「コリア協議会」に通告します

しかし、ベルリン市民たちからの猛反発が巻き起こります。女性団体や反極右団体などが連帯を表明し、また、ドイツ社会民主党や左翼党、海賊党に緑の党といったベルリンの政治家たちも撤去に反対の立場をとりました

「コリア協議会」が10月12日に撤去命令の効力執行停止を裁判所に訴えたこともあり、撤去計画は一時停止。翌13日、ミッテ区の区長さんは「コリア協議会」のデモ現場に現れ、日本政府の圧力は無視できないとしながらも、係争期間を利用し日本との妥協点をさぐっていくと約束しました

その後も日本からは、ミッテ区と友好都市・姉妹都市の関係を結んでいる新宿区東大阪市が圧力をかけます

※恥知らずな新宿区(←区長が元・日本会議首都圏地方議員連盟幹事)からミッテ区への圧力
https://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000297642.pdf

※恥知らずな東大阪市(←市長が教育再生首長会議会長)からミッテ区への圧力
http://www.city.higashiosaka.lg.jp/cmsfiles/contents/0000028/28879/shokann_japannese.pdf

ウヨ団体では、サンフランシスコで「恥を知れ」と言われたウヨ連中の一員である「歴史の真実を求める世界連合会」が、さらには「平和の少女像」とともにその歴史を刻んできた「なでしこアクション」が、それぞれ民族ヘイトに溢れたお手紙をミッテ区に送り付けました

※恥知らずな「歴史の真実を求める世界連合会」のお手紙
http://gahtjp.org/?p=2293

※恥知らずな「なでしこアクション」のお手紙
http://nadesiko-action.org/?p=15207

そうした日本の圧力が逆効果になったのかならなかったのかはわかりませんが、11月5日、ミッテ区議会は「平和の少女像」が予定通り存置されるべきだという内容の決議案を採択しました。議会では、本来は2021年8月14日までであった「平和の少女像」設置期間を永久設置に移行しようという動きまであるようです
http://www.restoringhonor1000.info/2020/11/blog-post_7.html?m=1

ミッテ区議会の採択によって撤去命令がなくなるかと言えば、そういうわけではないのですが、これはもうほぼほぼ決まりじゃないでしょうか?

またぞろ恥知らずな稲田朋美議員など自民党議員82人が、恥知らずな声明を発表したようですが、日本の恥知らずを世界にアピールしただけでしょう
https://www.sankei.com/politics/news/201120/plt2011200019-n1.html

現段階で言えることは少ないですが、日本政府その他の介入によってベルリンの韓国人社会・市民・有力政党が結びつき、大きなうねりに変わろうとしていることは確かかと思います


政府公式見解「河野談話」


さて、日本政府の恥知らずな対応を見てきましたが、ここで思い出して頂きたいのが「河野談話」です

※「河野談話」全文
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taisen/kono.html

1991年、日本軍性奴隷制度のサバイバーたちが自身の体験をカミングアウトしました。日本政府は当初、日本軍の関与を否定していましたが、調査の末、1993年8月に"旧日本軍が直接あるいは間接に関与した"ことを認めたのです

2年間に及ぶ政府調査の結果を、宮沢喜一内閣の河野洋平官房長官が要約し公表した【日本政府の公式見解】が「河野談話」です

当たり前の話すぎて解説するのも馬鹿らしいですが、これは河野洋平さんの個人的な感想なんかではなく、【日本政府の公式見解】です。ときどきいるんですよ、ここいらを勘違いして「河野洋平さんに発言を撤回してもらえば……」なんて言うウヨウヨさんが

河野洋平さんのボンクラ息子も、これにはさすがにオコです


※河野談話が【日本政府の公式見解】であるか否か、詳しく解説しているブログがありましたので、この話題に関心のある方は↓からどうぞ
http://blog.livedoor.jp/ekesete1/archives/41130637.html


【日本政府の公式見解】であるからこそ、第二次安倍政権は「河野談話」を覆そうと躍起になっていました
(それを民間からサポートしたのが、産経新聞の「歴史戦」です)


しかし、アメリカに不快感を示され、安倍内閣は「河野談話」見直しを断念することとなります
(結果として、「河野談話」の精神をねじ曲げる形ばかりの「日韓合意」へと続くのですが、それはまた別の話)


安倍晋三さん自身、2014年3月の国会で、次のように語っています


"この問題については、いわゆる河野談話があります。この談話は官房長官の談話ではありますが、菅官房長官が記者会見で述べているとおり、安倍内閣でそれを見直すことは考えていないわけであります"
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=118615261X01320140314&spkNum=8&single


そういうわけで、「河野談話」は発表されたときから【日本政府の公式見解】であり、見直されず継承されている以上、現在も【日本政府の公式見解】であり続けているわけですね



「河野談話」を無視した外務省




「河野談話」で注目頂きたいのが、次の文章です


"われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する"


ここでは「「慰安婦」とされた人々のためにも、この問題を永く記憶にとどめるために努力します」と、そういうことを言っているわけですね


で、あるならば、「平和の少女像」に対する日本政府の態度は、【日本政府の公式見解】である「河野談話」の精神と矛盾することになります


「河野談話」の精神にのっとるならば、日本政府こそが「平和の少女像」を世界各地に建立し、広めていかなくてはならないはずです


今回のベルリンの件にしても、日本政府は妨害するのではなく、支援することが望ましいのです


なのに日本政府のやってることときたら……


日本政府は、自身の行動と【日本政府の公式見解】との矛盾を、どのように考えているのでしょうか?


日本政府内部でどのような話し合いがなされているのか、気になるところですよね?


……そこで行政文書開示請求の出番です


僕「ベルリン市に設置された「慰安婦」像について、日本政府が像の撤去を要請した件について。河野談話との整合性ってどうなってますか?検討しました?」

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外務省「いやー、検討なんてしてないっすわw」
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……おいおい、検討すらしてないのかよ

つまり外務省は【日本政府の公式見解】を完全に無視している、ということですねHAHAHA

「Shame on you!」







※今回のブログ作成にあたって、「日本軍「慰安婦」問題解決全国行動」さんの記事(2020.10.02.~2020.11.22)を主に参考としました
http://www.restoringhonor1000.info/?m=1



※また、「ハンギョレ新聞」のサイトにおいて「ベルリン」で検索して出てきた記事も適時参考にしています
http://japan.hani.co.kr/