諸般の事情により、メモ書きでの更新です※

2020年5月3日、日本会議が毎年恒例の「第22回憲法フォーラム」を開きました

 ↓のチラシには、美しい日本の憲法をつくる国民の会・民間憲法臨調の共催と書いていますが、この2つはどちらも日本会議の別動隊に過ぎません
_20200516_062238

後援の新憲法制定議員同盟についてはイミダスさんをドゾー


「憲法フォーラム」では毎年恒例ですが、安倍晋三さんがこの極右集会にビデオメッセージを寄越しています


5:52~ 安倍晋三・ビデオメッセージ

安倍晋三さんが「自由民主党総裁」として公開憲法フォーラムで改憲を訴えるのは毎年のことです。彼にとっては、自分の熱烈な支持層に向けたアピールの場なのですね

「自由民主党総裁」の肩書きで出演しているのは、憲法99条の「憲法尊重擁護義務」に違反しないためでしょうーー無論、卑怯な脱法行為です

毎度のことで僕も感覚が麻痺してきているのですが、一国の首相が脱法行為によって極右団体にメッセージを送り続けていることは、改めて考えると異常ですよね

さて、今年の安倍晋三首相は、緊急事態条項と憲法第9条の改正を求めました

9:37~

"今回のような未曽有の危機を経験した今、緊急事態において国民の命や安全を何としても守るため、国家や国民がどのような役割を果たし、国難を乗りこえていくべきか、そしてそのことを憲法にどのように位置づけるかについては、きわめて重く、大切な課題であると私自身改めて認識した次第です"

事前の僕の予想では、新型コロナウイルスで騒ぎに乗じた緊急事態条項一本に絞った話にするかと思ったのですが、予想に反し、どちらかと言えば憲法第9条改正に重点を置いた話だったように思います(それでも緊急事態条項をここまで前面に押し出したのは、憲法フォーラムでははじめて)

緊急事態条項についてそこまでガッツリ触れなかったのは、今回の新型コロナウイルス対策において彼が批判されていることの多くが、憲法とは関わりのない部分だからでしょうか

緊急事態条項が憲法にないから、検査が少なかった・ケチ臭い補償案しか出せなかった・Go to travelなんて愚かな案を出してしまった……なーんて理屈は、いくら安倍晋三首相でも強弁できなかったのでしょう

11:06~

"(自衛隊は感染症対策に従事しているが、)一連の対応を通じて従事した隊員からはこれまで一人の陽性者も出していません。事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務める。私は自衛隊の最高指揮官として彼らのプロフェッショナリズムに常に胸を打たれています"

憲法第9条の話題に移る前フリですが……これは問題ですね

感染していない者を讃えるということは、すなわち感染している者をスティグマ化する行為に他なりません。ただでさえ一般の国民の間で感染者を自己責任論で叩く空気があるなかで、首相がこの発言とは……

これでは自衛隊の隊員は、感染している疑いがあっても、言い出せないんじゃないでしょうか? たとえ感染疑いのある者が正直に上に報告したとしても、自衛隊は組織的にそれを隠す危険があるのではないでしょうか?

モリカケ問題でさんざん忖度の構造を批判されたにも関わらず、まるで反省のない安倍晋三首相にはガッカリです

12:50~

"創設以来何十年にもわたり続く「自衛隊は違憲」というおかしな議論に終止符を打つためにも自衛隊の存在を憲法上明確に位置付けることが必要です。全国25万の自衛隊員諸官が強い誇りを持って任務を全うできるよう、憲法にしっかりと私たちの「自衛隊」を明記しようではありませんか"

はてさて、"「自衛隊は違憲」というおかしな議論"をしている人たちというのは、現在、いったいどれだけいるのでしょうか?

議論があるのは「集団的自衛権を行使できる自衛隊」「海外派遣が常態化した自衛隊」など、運用面での問題であって、自衛隊の存在そのものを違憲とする議論はあまり聞いたことがないですよね

たとえば、警察が平和集会やデモ、労働運動を弾圧するのが常態化していたとします。そうなった場合、僕らはそれを「違憲」だと罵るでしょうし、「警察は違憲」とプラカードを掲げ警察署の前で抵抗運動をするでしょう。だけどそれは、警察の存在そのものを違憲としているわけではないですよね。自衛隊についても同じことで、その運用こそが批判されているわけです

そして運用面での批判である以上、自衛隊の存在そのものを憲法に書き込んでも、運用面で違憲の疑いがあれば批判はなくならないわけです
(憲法に自衛隊を書き込めば、権力がフリーハンドに暴力装置を使えるなどと思っているバカはいないと思いますが、一応言及しておきました)

もっとも自衛隊の場合は「国は軍事力を持つべきでない」という信念に基づいて反対運動をしている人たちもいて、そういった人たちは自衛隊の存在そのものを違憲と言う場合が、たしかにあります。しかし彼・彼女らは少数派にすぎず、また、そういった人たちは憲法に自衛隊が書き込まれたとしても、自衛隊反対運動をやめないでしょう

つまり憲法に自衛隊を書き込むことに意味はないのですーー少なくとも安倍晋三首相の言う意味合いでは

そもそも議論を押さえ込むために改憲しようなどという主張からして、民主主義を舐めてるとしか……

※メモ書き終わり※