衛藤晟一内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策、消費者及び食品安全、少子化対策、海洋政策担当)が世間の注目を浴びていますね

悪徳マルチ「ジャパンライフ」の元会長が首相主催の「桜を見る会」の招待状を悪用し、被害者の信用を得ていた問題についての発言が炎上しているのです

"それ(招待状の掲載されたジャパンライフのビラ)を信用したという人もおられるようですが(中略)普通ですね、個人的に言えばですね、「私は誰と誰に会いました」と名刺出すような方とかね、それから「こんな方と会いましたよ」と言う方ってのはね、なにかね、ちょっと……おかしいと思う……私としてはそういう方ってのは最初からむしろ要注意だと思って普段から接しています"
(TBS『報道特集』2019年11月放送)

まるで「被害者が悪い」と言わんばかりの言葉に批判が集中したわけですね

「桜を見る会」問題から派生したジャパンライフ問題からさらに派生したこの衛藤発言の深層を今日は語っていきたいと思います
 

政策集団「のぞみ」


衛藤発言の深層、と言うと衛藤晟一さんと日本会議の関係を思い浮かべる方が多いと思います。なんと言っても衛藤晟一さんは「生長の家」出身で、たんに日本会議の国会議員連盟に参加しているだけの右翼議員とはヤバさの桁が違うわけですし


ガチな日本会議が被害者の自己責任に帰結するのは、ある意味で当たり前の話ではあるのですが……今日は日本会議とは別の角度から突っ込んでいきましょう

本日は以下の本を参考に記述していきます(これより先、特別に言及しない限り、引用はこの本から)

山本寛斎+政策集団「のぞみ」著『上を向こう、日本』(2010、PHP)

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『上を向こう、日本』は、最初にデザイナーである山本寛斎さんと政策集団「のぞみ」の対談を収録し、その後「のぞみ」各メンバーの文章が掲載される構成となっています

衛藤晟一さんも政策集団「のぞみ」の一員でした

政策集団「のぞみ」は自民党が下野した2009年の翌年、2010年1月に結成された自民党の保守系(笑)議員の勉強会です

その綱領の最初の部分には、こうあります

"祖国は危機に瀕している。このときにあたって、私たちは、自由民主党に対して示された国民の審判を厳粛に受けとめ、わが結党の本志に立ち返り、国民の先頭に立って、国家的危機に立ち向かい、もって国会議員としての職責を果さんがため、ここに「のぞみ」を結成する"

まず指摘できるのは、「自民党の下野」というただの政権交代を「国家的危機」にすり替えていることです

すり替えは政策集団「のぞみ」や自民党のみならず、ウヨ界全体が一丸となって行っていたプロパガンダでした。このため今でも「論理が破綻していても、とりあえず民主党を叩いておけば愛国」という意識が存在しているわけですね

……と、今日の話題の本筋から外れましたね

ようするに政策集団「のぞみ」とは、自民党ウヨ派による政権奪還チームという色合いが強い勉強会なんですね

衛藤晟一さん以外の政策集団「のぞみ」メンバーは以下のとおり

山本有二(代表。石破派。「手かざし」で有名な崇教真光の信徒。2016年10月、農林水産大臣のとき、政治資金パーティーでTPP法案を強行採決させる旨を発言し問題に)

古屋圭司(日本会議国会議員懇談会会長、日本の前途と歴史教育を考える議員の会会長、明治の日を実現するための議員連盟会長)

鴨下一郎(第一安倍政権で環境大臣就任早々、政治資金収支報告書誤記の問題が発覚。第一安倍政権崩壊の一端を担うことに)

古川禎久(石破派)

いずれも負けず劣らずなウヨばかりなのですが、各メンバーについては今日はツッコミません


さて、引き続き政策集団「のぞみ」綱領を見ていきましょう

いろいろツッコミどころ(綱領の最後に岸信介による「自由民主党の発足に当たりて」が添えられてんすよ!)はあるんですが、今日の話題に関連する部分といえば「基本政策」の前文です

"私たちは、自主自立・独立不羈の精神を根本として、自助努力・共生共助の社会の再興を目指す"

で、でたー

自助努力ですよ、自助努力。自己責任ってやつですよ。そして自助努力でできない範囲は共助しろですって

公助は?
公助はどこへ消えた?

公助がなかったら、政府の存在する意味がないじゃないですか。それが議員の仕事でしょ?

そんなんだから衛藤晟一さんの「被害者が悪い」と言わんばかりの発言が出てくるんだよー

公助を語らない議員は百害あって一利なし。政策集団「のぞみ」に参加した議員たちには即刻辞任してほしいですね


衛藤晟一「「経済繁栄」や「生活第一」ではなく第三の選択肢を」


前述したように『上を向こう、日本』では各メンバーによる文章が掲載されています

衛藤晟一さんの担当は第5章「自由と独立と繁栄を保障する「独立体制の整備」路線」ですが、そのうちの小見出しのひとつがやはり目を引きます

"「経済繁栄」や「生活第一」ではなく第三の選択肢を"

第5章では、いわば「ウヨ側から見た戦後日本の歴史」とでも言うべき内容となっており、なかなか興味深いです

特に「建国記念の日(紀元節)」復活はウヨ大勝利案件のはずなのに、建国記念奉祝行事を行わない旨を佐藤内閣が明言したことを不服とし、

"ある意味「保守」自民党は終わった"

……とまで言い切っているのが面白い

第5章では他にも憲法改正、村山談話、ヘリテージ財団、教育問題、靖国問題、食糧自給率の問題、公務員制度改革などが語られていますが、先の一文"「保守」自民党は終わった"が衛藤晟一さんの主張の根幹をすべてを表しています

途中から経済発展一辺倒になった(と衛藤晟一さんが考える)自民党に不満を抱えている……というか、そんなんだから民主党に負けちゃったんだよぉという嘆き節ですね。だからこそ「日本を取り戻す」というキャッチコピーが生まれたのではないかと思います

「保守としての自民党を取り戻す」……これが"「経済繁栄」……ではなく"の部分ですね


では"「生活第一」ではなく"を語っているのはどこなのか

まずは「生活第一」という、通常は熟語として使わない四文字がどこから来たのか押さえておきましょう

"「生活が第一」を叫ぶ民主党が登場し、クリーンであるように見えました。社会党とは違って民主党政権となっても日本が社会主義国になる心配もなさそうでした。何よりも自民党政権では、経済繁栄の維持も覚束ないように見えました。国民とすれば、何がなんでも自民党に政権を任せなければならない理由はなくなったのです"

つまり、「生活第一」は民主党のスローガン「生活が第一」から来ていたわけです

それがキチンと達成されたかどうかはともかく、スローガンとしては立派なものだと僕は思いますが、どうやら衛藤晟一さんはご不満のようですね

「生活が第一」がちゃんと達成されているか、ではなく、「生活が第一」そのものに否定的な態度をとっていることが重要なポイントです

衛藤晟一さんは第5章のシメとして、こう言います

"戦後自民党の「経済繁栄」路線でもなく、民主党の「生活が第一」という名の「社会主義・福祉」路線でもない、第三の選択肢として「独立体制の整備」路線を提示し実行することが「祖国の自由と独立と繁栄を永遠に保障する」保守政治家としての責務であると信じています"

……このように民主党スローガンへの対抗軸として打ち出された第三の選択肢。ライバル政党と対立するのは悪いことではありませんが、「国民の生活が第一」というある意味で普遍性のある言葉まで否定するのはやりすぎた

そんな考えだから「被害者が悪い」と言わんばかりの発言が出てくるのです


自民党ウヨ派「国民が大事なんて政治は間違っている」


生活第一を否定する政治家は、果たして衛藤晟一さんだけなのでしょうか?

いえいえ、そんなことはありません

自民党ウヨ派の政治家は、多かれ少なかれみんな同じような考え方をもっているはずです

その証拠とも言える動画がこちら


上に埋め込んだ動画は、2012年4月に行われた「稲田朋美さんと道義大国を目指す会」の模様(https://youtu.be/IHRQdwXknic)を、小畑幸三郎氏が切り抜いたものです

「道義大国を目指す会」には、もちろん安倍晋三さんも出席しています

"国民の生活が大事なんて政治はですね、私は間違っていると思います"

稲田朋美さんのこの発言は、衛藤晟一さんのそれと比べてだいぶ過激になっていますよね

おそらくは、最初は「民主党に対抗するためには、同じことを主張してたんじゃダメだよね」というノリだったものが、時がたつにつれて、どんどん先鋭化していったのでしょう

政権与党でなくなった自民党は、民主党憎しのために、国民の生活など省みない政党になってしまったというわけです

もともとそういった党だったとはいえ、「自己責任」を重んじる自民党の風潮は、野党に転落したときから一層強くなったのではないでしょうか

一刻もはやく自民党をもう一度野党に戻し、今度こそちゃんと頭を冷やしてほしいものです