南木隆治(みなき たかはる)さんは関西ウヨ界の古強者です

かつて大阪府立学校教諭であった彼は「南木の資料室」なるウヨサイトを主宰し、「南木倶楽部」というメーリングリストでせっせっとウヨ情報を流しています

彼はかつて沖縄戦集団自決「冤罪」訴訟で活躍し、現在はヘイト企業として名高いフジ住宅と近しい関係にあります

主要ホームページ「南木の資料室

フェイスブック

今日は南木隆治さんに関わる3つの裁判闘争を見ていきましょう


小泉首相靖国参拝訴訟


南木隆治さんは、かつて「靖国応援団」という団体の代表をつとめていました

これは2001年の小泉純一郎靖国参拝に端を発した違憲訴訟に抗うためつくられた団体です

「靖国応援団」は全国五ヶ所の裁判所でなされた訴訟のうち、大阪・松山のすべてに補助参加という形で参加しています

※補助参加とは(コトバンク)

"徳永信一弁護士が、この種の裁判では使われたことのない裁判への『補助参加』という手法で、一連の裁判へ保守陣営から介入してゆく作戦を立てました。徳永弁護士の呼びかけに応じて、南木から松本藤一弁護士、稲田朋美弁護士を紹介させていただきました。こうして徳永、松本、稲田の3弁護士が集まり、『靖國応援団』は産声を上げました"

上記の文章からは、南木隆治さんの華麗な人脈がうかがい知れて興味深いですね

今をときめく……と言うには少し旬を過ぎた感もある稲田朋美議員は、こうした活動が認められたこともあって2005年に初当選を果たします

また、松本藤一弁護士は「新しい歴史教科書をつくる会 大阪」で南木隆治さんと親交をもったようですね。「体罰の会」の発起人にも名を連ねる方です

「靖国応援団」の活動は「沖縄集団自決冤罪訴訟を支援する会」に発展することになります


沖縄集団自決「冤罪」訴訟


南木隆治さんを語るうえで不可欠となるのが、2005年から開始された沖縄集団自決「冤罪」訴訟です

これは沖縄戦において県民に集団自決を命令したとされる梅澤裕少佐らを原告として、『沖縄ノート』の著者である大江健三郎さんとその出版元の岩波書店を名誉毀損で訴えた裁判です

表面的な目的は、「俺は集団自決しろなんて命じてないYO!」と主張する梅澤裕少佐らの名誉回復でしたが、その実、教科書から「集団自決」の文字列を消すことが真の目標でした

「靖国応援団」の発展系ということで、原告訴訟代理人には徳永信一・松本藤一・稲田朋美が名を連ねていました。現「つくる会」会長の高池勝彦さんも参加していました

実は裁判の最中に、日本ウヨの連合隊であった「新しい歴史教科書をつくる会」が分裂し「日本教育再生機構」が生まれています


これによって日本の右派はバラバラになりそうだとの希望的観測も一部ではありました

しかしそうはならなかった

ウヨたちは、派閥争いは派閥争いとして継続しつつ、それとは別に、歴史修正分野では共闘ともとれるような動きを見せていたのです

そしてウヨ共闘の舞台となったのが、沖縄集団自決問題だったというわけです

この時期の状況は、俵義文『〈つくる会〉分裂と歴史偽造の深層: 正念場の歴史教科書問題』が詳しいです。第一次安倍政権の誕生を背景に、右派がいか歴史教科書を攻撃し、いかに「集団自決」を亡きものにしようとしたかがわかります

南木隆治さんも「沖縄集団自決冤罪訴訟を支援する会」の代表として大いに活躍しました。裁判の状況を逐一ブログに綴り、ネット世界に右派の主張を広げました

当時のブログはプロバイダの関係で消滅してしまいましたが、南木隆治さん自身がアーカイブ用に新たなブログをこしらえてくれています。こういうところは、ほんと真面目

ブログにもあるように、この裁判によって2006年度検定で教科書から「軍命により強制された集団自決」は消えてしまいました(その後、多くの沖縄県民の社会運動により、ほとんどの教科書が記述を復活させています。が、最大シェアの山川日本史Bでは……)

それだけでなく一部教科書から「集団自決」の記述そのものすら消滅することになります。ようやく2016年度検定で山川出版による日本史Bの教科書が「集団自決」を復活させましたが、日本軍による強制性への踏み込んだ記述はありませんでした(日本史Aには記述あり)

教育基本法の改悪とともに、2000年代半ばの右派の貴重な成功体験のひとつとして記憶にとどめておきたい出来事です

※裁判自体は大江・岩波書店の全面勝利(2011年、最高裁が原告の上告を棄却し確定)。「軍は自決命令を出していない」という原告の主張はすべてしりぞけられています。

なお、犠牲者のなかに自決できるはずもない幼い命が多数存在するため、現在は「集団自決」ではなく「強制集団死」と主に呼ばれています


フジ住宅ヘイトハラスメント裁判


沖縄集団自決「冤罪」訴訟でつかわれた「メインで運営しているサイトとは別に、テーマによって新たなブログを立ち上げる」という手法は、フジ住宅のヘイトハラスメント訴訟でも用いられています

フジ住宅(今井光郎会長)のヘイトハラスメントでは、主に以下の3点が問題となっています

・ヘイト本&ヘイト文書を従業員に配布→感想文を提出させる

・大阪市「教科書採択は市民のアンケートを重視するわ」→科書展示会に従業員を動員→育鵬社教科書が採択される

・異常な状況の是正を懇願した在日韓国人のパート女性にパワハラ&退職勧奨→裁判に

……と、まあ本来であれば擁護しようのないハラスメントなわけですが、愛国に目の眩んだ南木隆治さんにはそれがわからない

擁護、擁護、また擁護といった具合に、上記のブログでフジ住宅および今井光郎会長を庇いまくります

"『フジ住宅』は「ヘイト企業」ではありません。もっとも日本的な経営をしている従業員思いの優良企業です"

"むしろ被害者は、実質的に既に営業妨害と、名誉を毀損されている『フジ住宅』と今井会長である"


・ブルーリボンバッジ騒動

歴戦の古強者だけあって、彼は場外乱闘もお手のものです

南木隆治さんは必要もないのに、わざわざブルーリボンバッジをつけてフジ住宅ヘイトハラスメント裁判の傍聴に現れました。ブルーリボンバッジは北朝鮮による日本人拉致被害者を救うことを目的とした社会運動の象徴ともいうべきものですね。悲しいことに、現状、ブルーリボンバッジは差別と排外主義の象徴として機能していますが

原告の訴えもあってか裁判所からブルーリボンバッジを外すよう命じられると、南木隆治さんはそれを問題視し原告側ばかりでなく裁判所にも噛みつきます

ご本人の弁によると、

"私は20年間に渡り、各種裁判の傍聴をしてきましたが、常に「ブルーリボンバッジ」をはずした事は無く、そのことで入廷を断られたことはあリませんでした"(2018.8.16より)

……とのことです

たしかにハタから見ていると、わざわざ外すよう命じるのもやり過ぎのように思えます

が、原告側に次のようなことまで言ってのける南木隆治さんも、やはりおかしい

"(ブルーリボンバッジを忌避することによって)彼らは間違いなく全ての日本人を敵に回す「墓穴」を掘りました"
"今回の事を通じて、原告たちのグループが如何に特殊な「反日ヘイト集団」であるか、ますますはっきりしたと思います"
(2018.8.16より)

この騒動によって「正義は我にあり!」となった南木隆治・フジ住宅支持者たちは、ヤンヤヤンヤの大喝采です

……ようは挑発しまくって相手に手を出させる「チンピラの手法」の応用ですね。相手の小さな瑕疵をつつき最大限に拡大する手法の使い方が実にうまい。円熟したウヨしぐさ、といったところでしょうか


・陰謀論者 南木隆治

それにしても、南木隆治さんはなぜブルーリボンバッジを否定されただけで原告側を"反日ヘイト集団"とまで罵ったのでしょうか?

過剰とも思えるほどの反応の深層には、陰謀論がありました

"彼らの背後には敵性外国があります"
(2018.10.25より)

"この裁判の帰趨は、大きく全日本人の「人権」に関わり、少しでも負ければ、負けた分だけ、全ての日本人の言論の自由、表現の自由は不当に抑圧を受けることになるでしょう。またそれは我が国家が敵性外国にコントロールされる重大な危険性を孕むと言わねばなりません"
(2019.3.29より)

ようするに、南木隆治さんは原告たちの裏に、ありもしない巨大な影を見ているんですね。典型的な陰謀論者です

ハラスメント訴訟が、一国の運命を握る聖戦となる……なんとも楽しそうな人生です


・フジ住宅 今井光郎の利害関係者

さて、ここで根本的な疑問があります

南木隆治さんはどうしてこんな裁判に陰謀論を持ち出してまで入れ込んでいるのでしょうか?

たしかにフジ住宅ヘイトハラスメント訴訟は、このての話が好きな人々の間で話題になったものの、沖縄集団自決「冤罪」訴訟のような右派全体を巻き込むような広がりはもっていません

南木隆治さん自身は「表現の自由」を持ち出し、この裁判に負ければ日本がどーにかなってしまうと言っていますが、そんな大袈裟な裁判でないことは明白です

その答えは……

ななな、なんと、南木隆治さん自身がフジ住宅・今井光郎会長の利害関係者なのです!

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上の画像は「今井光郎文化道徳歴史教育研究会」という、フジ住宅会長のやっている団体の役員一覧です。全国各地のウヨ団体に助成金を出していることで有名なとこですね(ネット上では「フジ住宅系助成金」と呼ばれることが多いです)。その助成先の選定委員として南木隆治さんは働いているわけです

当ブログでは今年度上半期の助成先を調べたことがありますが、南木隆治さんのお友だちがガッツリ選ばれていましたね


ようするに、南木隆治さんがフジ住宅ヘイトハラスメント訴訟で口出ししまくっているのは、お金のためなのですね。しょーもね

また、フジ住宅のブログには、こんなことが書かれています

"裁判開始当初は弊社を応援してくださる方が傍聴席に一人もいない状態から始まった当裁判ですが、おかげさまで、最近の期日では傍聴席の過半を弊社支援者で占める事ができているとの報告を受けており、本当に有り難く、皆様に深く感謝致します"
 
"念のため、今回も以下に同じ事を繰り返しますが、弊社は今も社員である原告が毎回出廷していることを勘案して、裁判傍聴に弊社社員を一人も派遣せずにこれまで裁判を進めてまいりました"

いやいやいや、フジ住宅の社員は派遣してなくても、ガッツリ繋がりのある南木隆治さんに傍聴させてるじゃないですかー。その他のフジ住宅側傍聴者は、彼の呼び掛けで集まった人々じゃないっすかー。なに彼との関係を隠して聖人面してんすかー

汚い、コイツらマジで汚い!


南木隆治さんのその他の活動


ここまでは過去・現代における南木隆治さんの主だった活動を記してきました
この先は、南木隆治さんについてのトピックスを徒然と書いていきます


・21世紀日本アジア協会

以前お伝えしたことですが、関西ウヨ学者の集まりである「21世紀日本アジア協会」という団体があります。日本国史学会とも関係が深いこの団体のホームページには、実は南木隆治さん運営の「南木の資料室」と「沖縄集団自決冤罪訴訟を支援する会」へのリンクが張られています

「南木の資料室」の紹介では"日本が抱える歴史問題に的確に研究し、日本がこれからどうあるべきかを掲載されております"とベタ褒め

大学の先生たちに褒められちゃうんだから、ウヨ活動は一度やったらやめられないよなぁ



・黒田裕樹の『百万人の歴史講座』

「黒田裕樹の歴史講座」なるホームページを持ち、講演活動も精力的に行う人物がいます

ホームページを見ていただければわきるように、どこを切り取ってもウヨウヨな黒田裕樹さん

彼と南木隆治さんが組んで生まれたのが『百万人の歴史講座』です

会費一万円ポッキリでウヨ史観にまみれた歴史講座が読み放題!高い!

なお、「黒田裕樹の歴史講座」にも当然のことながらフジ住宅系助成金が払われています



・岸和田健老大学とアカシックレコード

南木隆治さんは2015年6月から「岸和田健老大学」というNPO法人で、岸和田の老人たちを相手に講義をうけもっています
決して右派に偏った団体ではないと思うのですが、ここにもフジ住宅系の助成金が入っています

南木隆治さんは親切にも講義のレジュメを公開してくれているのですが……

"何か「シナリオ」のようなものはあるのか。(アカシックコード)(アカシャー年代記)(ルドルフ・シュタイナー等)"

あああ、アカシックレコード!?

参考:http://bit.ly/2GD1OKz(Wikipediaの『アカシックレコード』)

いろいろなウヨ言説に混じってアカシックレコードときたもんだ!うわー……


おわりに


アカシックレコードの話題が出たので、最後に「南木倶楽部・宗教と哲学の部屋」の話もしましょう

これは南木隆治さんの根幹をなす、アレな感じのアレなブログです(メーリングリストもあります)

彼はもともと精神世界と縁の深い人間なんですね

そのこと自体はどうこういうつもりはないですし、宗教やスピリチュアルなものを即座に否定してはいけないとも思っています

ただし、それがウヨと結び付いているとなれば話は別です

"弘法大師空海の法力が、今も、少なくとも四国にはその時空に満ちており、それを感受する能力を多くの日本人が今も保持している"(2014.4.25より)

……というように宗教にかこつけて「日本スゴイ」するだけならまだ可愛いもんですが……

"我が国が滅びたら世界も、人類も終わってしまいます。世界を滅亡から救える精神は、その根本の美意識の高さにおいて、我が国以外のどこにも、今、有るようには思えません"(2014.2.10より)

ここまで行くと、もはや空恐ろしさすら感じます(いわゆる「スピリチュアル系」のウヨさんにはありがちな言説だったりしますが……)
「日本はアジアのお兄さんだからね!劣った国は統治してあげないとね!」という謎の使命感に燃えたどこぞの神国民と同質のマインドですね

また、真珠湾攻撃の日が、お釈迦様が悟りを開いた日(成道会の日)と同日であることに着目し、

"真珠湾攻撃によって、何か人類史を乗せて展開されている時空に、我が国から発せられた精神によって楔が打ち込まれ、時空が変容したかも知れないとも感じるのである"
"私は12月8日の成道会の日に開戦したことと、わが国が犠牲となって、アジアを結果的に解放できたこと、戦後70年近い今も、自らの国が積んだ徳の数々をほぼ完全に忘却させられ、国民が自虐思想にとらわれていることが、偶然とは思えない、何か深い因縁があるように感じるわけである"
"ある日付が持つ運命は、何かその日付のイデアと言ったようなものの気配を纏うように思える"
"その日のイデアそのものが持つ『魔力、霊力』がもともとあるからこそ、その日が『記念日』となってゆく"(2014.2.04より)

話の小ネタとして「この日とこの日は同日なんだぞー、すっごい偶然だよねー」とするならともかく、大真面目に語られると怖いですよね

ウヨ界に貢献し、なおかつネットでの発信を積極的に行っている南木隆治さんが、関西のローカルウヨにとどまっている理由は、たぶんこういうアレなところのせいなのだろうなぁ……