株式会社キャリアコンサルティングと「くにまもり演説大会」


2019年2月11日建国記念の日に、江戸川区総合文化センターにて「第11回くにまもり演説大会」が開かれました

くにまもり演説大会とは、株式会社キャリアコンサルティングが主催する、右派による右派のための演説大会です。「大東亜戦争」や「自虐史観」という単語がポンポン飛び出す、と言えばだいたいどんな大会かわかっていただけるでしょうか?

当ブログでは過去にもキャリアコンサルティング株式会社について軽く説明していますが、ようは人材育成や就職活動対策を名目にウヨを養成している会社ですね。ウヨ系の私塾を少し洗練させたものだと思ってもらえればけっこうです
ここはいわゆる「カルト宗教的」な強引すぎる勧誘で問題になったことでも有名ですね



「くにまもり演説大会」は、そんな株式会社キャリアコンサルティングで学ぶ若きカモたちがしのぎを削る演説大会です(一応、株式会社キャリアコンサルティングの人材育成講座を受講していなくとも参加できます)

昨年は青山繁晴議員の第一秘書である三浦麻未さん(旧姓:清水)が優勝したことでも話題になりました

なお、三浦麻未さんの旦那さんも過去の「くにまもり演説大会」出場者です。森友学園塚本幼稚園の教育を褒め称えていました


「第11回くにまもり演説大会」を報じたメディアと審査員


先日開かれた2019年のくにまもり演説大会は、"総応募者数1177人の中から予選を通過した20代の男女8人が本戦に出場した"とのことで、なかなか盛況だったようですね(統一教会系ネットメディア「Viewpoint」より)

Viewpointの他にはチャンネル桜や世界日報(統一教会系)、フジサンケイビジネスアイなどが「第11回くにまもり演説大会」について報じています

なんというか、いかにも、といった感じの媒体ですねw

フジサンケイビジネスアイ「アイキャッチ」(2019年2月26日号)に演説大会の審査員が載っていたので、以下に転載します

審査員長:矢野弾 矢野経済研究所特別顧問

審査員:
ペマ・ギャルポ 拓殖大学国際日本文化研究所教授
宮脇淳子 東洋史家・学術博士
高森明勅 日本文化綜合研究所代表
河添恵子 ノンフィクション作家
大高未貴 ジャーナリスト
倉山満 憲政史研究者
室舘勲 キャリアコンサルティング代表取締役社長

なんというか、いかにも、といった感じの審査員ですねw

恥ずかしながら審査員長の矢野弾さんのことは存じ上げなかったので、ググらせてもらいました

検索上位に出てきたのは、WGIP陰謀論+イルミナティ陰謀論で有名な一般社団法人「国づくり人づくり財団」。矢野弾さんは「国づくり人づくり財団」がやっているコンサルティングファームというのに登録しているらしく、そこでは彼の詳細な経歴が拝めます

というか矢野弾さんは「国づくり人づくり財団」の賛同顧問の一人なんですね(ドンびき)

さらに自身のホームページ「矢野弾ドットコムhttp://www.yanodan.com」では

"新たな経済政策はヒューマン資本主義として日本が提唱してアジアと世界を構築するのがアベノミクスの次の政策とするのが次世代への布石です"
(月毎に変わるトップページのためアーカイブで確認くださいhttps://archive.fo/5YbRw)

……などとわけのわからない日本語でわけのわからない概念を弄ぶ様子が確認できます(ドンびき)


「第11回くにまもり演説大会」の感想


YouTubeに演説の模様がアップされているので、ここからは2019年度の「くにまもり演説大会」の感想を書いていきます


優勝:長瀬舞子さん「研究室からみた日本のみらい」

基礎研究にお金が回ってこなくてヤバイという話
すぐに実績のあがる応用研究にばかりお金をつぎ込んでも将来の日本のためにはならない、という主張をしています

全般的に評価のできる演説なのですが、「2000年以上の歴史をもつ日本」という言葉にガックリ。パラレルワールド日本のことを語っていたのか……


準優勝:古矢彩音さん「心の教育~日本人の心をつなぐ~」

実は最も警戒したタイトルでした。しかし残念なことに動画はありません

世界日報(2019年2月24日)の記事から雰囲気だけつかんでおきましょう

"教師としての実体験を通じて子供たちに日本人の心を伝えることの大切さを説いた古矢彩音さん"
"クラスの荒れていた児童に歴史上の偉人の精神などを伝えていく中で児童たちが変わっていったエピソードを紹介"

教師かー


第3位:赤松由維子さん「絵本が育む豊かな心」

「スマホやテレビで育児するとヤベエ論」からの「絵本サイコー!論」

科学的なことは守備範囲外なので、本当にスマホやテレビが駄目なのかわからない。なもんで、この部分はノーコメント

豊かな言葉と豊かな心を育むために絵本が大切だというのは同意できます

ただ、赤松由維子さんがお気に入りの一冊だという『14ひきのあさごはん』というのが……
『14ひきのあさごはん』自体は別に普通の絵本なのでしょうが、それを選んだ理由がねぇ

"(3世帯同居の)大家族での暮らしや生活の中で文化が受け継がれていく様子"が描かれているから、というんですよ

……いくらなんでも政府が押し付けてくる家族観に合致しすぎじゃないですかねぇ


以下は、残念ながら入賞を逃された人たち


宍戸美憂さん「防災をこの声で」

宮城県南三陸町の防災対策庁舎で最後の最後まで防災放送を行った町職員の遠藤未希さん。「震災美談」とでもいうべきこの話を枕に、平時から防災を考える大切さを語ります

遠藤未希さんの行為の素晴らしさに疑問の余地はないですが、それが美談として語られるときは注意が必要。このての美談は容易に自己犠牲を強いる圧力へと変わります。僕たちは一個人の行為を美談にするのではなく、美談が生まれざるをえなかったシステムの不備を問題にしなければなりません

……と、気になる部分はあるが演説全体を見ればなかなか素敵

宍戸美憂さんはコミュニティFMでボランティアパーソナリティをつとめており、そこでは防災情報の発信に時間をさいているのだとか。素晴らしいことだと思います。美談の取り扱いなどぶつかる部分もあるが、防災は右派と左派が対立を乗り越えられるジャンルだと感じました


川緑佑梨愛「継承していく文化」

大学で着物を学ぶ川緑佑梨愛さん。とうとう自分で着物をつくるまでに。着物への愛を語り、着物に限らず伝統文化全般の衰退を嘆きます

素直に感心する内容でした。でも、伝統文化を守り普及に日本一貢献しているのは、右派がよく攻撃対象にするNHKさんなんやで……


杉山達哉「家族の想いを受け継いでゆくために」

特攻隊員だった大叔父の話をもちだし、特攻隊を賛美しつつ、「自虐史観」を脱して自国に誇りをもつよう主張

大叔父の話もおざなりに、そっこうでネトウヨ史観を披露しだすのには草

「戦勝国であるアメリカから、この自虐史観をうえつけられた」「教科書やマスコミによる印象操作のせいで自虐史観を引きずっている」というネトウヨのコピペレベルの話には失笑するしかありません

「自虐史観」のせいで自分に誇りがもてない→ルーツに誇りがもてないから自分に誇りがもてない、という論理の飛躍にはゲンナリ

ちなみに僕は、侵略戦争を否定し反省もしない輩のせいで日本に誇りをもてません


近藤紀里「超高齢化社会になる日本に必要なこと」

近藤紀里さんは施設に介護士を紹介する仕事をしておられるそうです
介護職の離職率の高さを「家族の問題」に集約して説明しています

彼女は「おじいちゃんおばあちゃんを施設に入れたらあとはほったらかしな家族」と介護職の離職率を直結して考えているのです

そうした家族を批判するのは個人の感性の問題ですが、そこにだけ焦点を当てて政府の福祉政策のまずさを誤魔化すような論法はいただけません

「あなたが親をほうりだせば誰が考えていく」
「今だけ自分だけしか考えない態度が問題を拡大していく」

……といった話は、国家の責任を家族に転嫁しているだけのように思えます。どうやら一部の福祉の現場では、とっくに翼賛体制ができあがっているようですね


江崎光太郎「日本の味方をつくろう」


タイ旅行での経験をもとに、「大東亜戦争は悪くなかった論」を「大東亜戦争においてこんなに感謝されている日本メソッド」を用いて説明。そのうえで親日国家と繋がることを主張しています

この演説から思い出すのは「街ではヤクザ者として有名だけど病弱な妹には優しい兄」というキャラクター類型だ。それ、普通にヤクザ者ですやん。最近(?)では「ヤクザ者だと思われていたのは誤解だった」というのが主流のようで、創作は時代をうつす鏡なんだなぁ、と

「こんなに感謝されている日本」との対比として慰安婦問題・南京大虐殺をただのネガティブキャンペーンと断じているのが罪深い

実は江崎光太郎さんは、2016年の土光杯優勝者だったりする(土光杯はフジサンケイグループの弁論大会)
このときの演説では、インドネシアでの旅行をもとに「こんなに感謝されている日本」をやった模様

こいつ金持ってやがんなー、と思っていたら……

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『日本会議の研究』の菅野完さんによると、コミンテルンハンター江崎道朗さんの息子なんだそーで。マジかよ……(同情の眼差し)


終わりに


意外や意外、本戦出場者で「あっ、こいつ手遅れだ」と思うのは少なかったですね
まだ真っ当な道に戻れる人には、はやく目を覚ましてほしいもんですね

江崎光太郎さんが改心し、江崎家のことを暴露する日を心待ちにしています