2019年3月6日、今上天皇の生前退位をめぐり、三種の神器にまつわる国会質問がなされました

まずは共同通信の記事(https://this.kiji.is/476001633520583777)をもとに、どういう質問だったのか見ていきましょう

質問者は松沢成文議員(希望の党)。日本会議の別動隊である「美しい日本の憲法をつくる国民の会」のイベントによく出席している人ですね

松沢成文議員が問題視しているのは、今上天皇の退位(4月30日)と新天皇の即位(5月1日)にタイムラグがあること

"剣と璽は、4月30日午後5時からの「退位礼正殿の儀」で天皇陛下が式場に置く。新天皇即位後の5月1日午前10時半からは「剣璽等承継の儀」が開かれる"

剣璽等承継の儀(けんじとうしょうけいのぎ)という、三種の神器の草薙の剣と勾玉(璽)を継承する儀式までに1日の間があることから、

「その間の2神器はどーなんねん!伝統に反して政府が預かるんか!?」

……というのが松沢成文議員の質問なわけですね。ここには右派がかねてより指摘していた「なぜ退位と即位の日を分けるのか」という問題意識も反映されています

三種の神器を政府が一時的に預かったところで、それをもとに政府が現在の皇太子とは違う天皇を擁立する……なんてことは起こるはずもないので、僕は「どーでもいいや」と思うのですが

安倍晋三首相の返答はこうです

"「5月1日午前0時の皇位継承と同時に継承される。政府が一時、預かることはない」と述べた"
"首相は剣璽等承継の儀について「新天皇が継承されたことを目に見える形で公にする儀式だ」と説明した"

つまり「ありゃただの儀式だから気にすんな!」というわけです。奇しくも安倍晋三と意見が一致しまう珍事に、僕は少し動揺してしまいました

政府が一時的に預かるわけではないとの言質がとれたわけで、右翼の方々からすれば「松沢議員、よくやった!」といったところでしょうか

……しかしこの質問、実は松沢成文議員が考えたものではありません

公家の血をひいていると名乗り商売をしている人物が、ネットワークビジネス経営者と山田宏議員の手を介し、松沢成文議員に質問させたのです


公家→ネットワークビジネス→山田宏→松沢成文


三種の神器質問の経緯を説明する前に、まずは「美し国」のおさらいから

「美し国」はスピリチュアル系のウヨ団体。杉田水脈議員や野口健さん、池田整治さんや陰山康成さんなどが関わっています

「美し国」の女性部として「なでしこオピニオンの会」があり、そこには「新しい歴史教科書をつくる会  女性部」のメンバーが多く在籍しています

さて、この「美し国」ですが、実は「ピュアーライフ」というネットワークビジネス(マルチまがい商法)の会社の文化事業として営まれているものでして……


「ピュアーライフ」と「美し国」の代表である菅家一比古さんが、今回の三種の神器質問における主役の一人です

3月6日配信の「美し国」メールマガジンは【緊急告知】として国会中継の視聴を呼び掛けています

"このままでは4月30日に今上陛下が退位されたあと、半日以上の皇位の空白が生じてしまいます!"
"この問題を京中山家六代当主である中山貴英先生は憂慮しており、美し国の菅家一比古代表が相談を受け山田宏参議院議員を紹介するとすぐに動いてくださり、本日の参議院の予算委員会において松沢しげふみ議員の国会質問で取り上げることになりました"

メールマガジンとほぼほぼ同じ文章がフェイスブックにも投稿されています

日本の伝統を守る姿勢を見せつつ権力者との繋がりをアピールする見事な文章ですね

ともかくこれで、ネットワークビジネス経営者である菅家一比古さんの差し金で三種の神器質問が成されたことがわかりました

貴重な国会の時間が、安倍晋三首相ですら「どーでもいいじゃん」的な扱いをする質問に費やされたことを、それがネットワークビジネスの経営者の差し金で行われたことを、僕はいつまでも覚えておきます


山田宏議員と中山貴英のこと


最後に、三種の神器質問における残り二人の主役を軽く説明して、今日の話は終わろうと思います

とはいえ、有名な極右議員である山田宏議員の説明は不要でしょう

最近また慰安婦問題で悪質なデマを飛ばしたみたいですね
慰安婦デマの良まとめURLだけ貼っておきます

さて、最後の主役は、質問の発端となった中山貴英さん

中山貴英さんは京中山家六代当主なのだとか
https://wanosuteki.jp/post_18478から経歴を引用させてもらいましょう

"京中山家初代忠伊(ただこれ)卿は119代光格天皇の第六皇子で幼名武生宮長仁。中山大納言家に臣籍降下し忠伊と名乗る。
長女慶子は明治天皇ご生母の中山一位局。
二代忠英、三代忠宗は大日本皇道立教会々長(総裁久邇宮朝彦親王)四代忠徳は御嶽教管長を経て太祖教管長に就任。
門下からPL教開祖御木徳近、山陰神道管長山陰基央、日本船舶振興会(現日本財団の前身)会長笹川良一、陽明学者安岡正篤等昭和の傑物を多数輩出。現当主貴英氏は四代忠徳卿の嫡孫で光格天皇五代の孫に当たり、京中山家六代当主、貴嶺殿廿九代目、一般社団法人和の道黎明会の理事長を務める"

はい、よくわからないですね

とにかく公家の家系の人ってとこでしょうか

中山貴英さんは一般社団法人「和の道 黎明会」は日本の伝統文化を広める活動をしています。和に関するイベントの他、黎明塾なるセミナーも定期的に開いているもよう

交流する相手は「華麗」の一言

・教育委員長時代に日本教育再生機構から例外的に好評価を受けていた現・京都市長の門川大作さんとの交流

・現在、神社本庁の統理をつとめられており、打田・田中派とバチバチ火花を散らしている鷹司尚武さんと付き合い

・モラロジー研究所教授の所功さんと対談

・最近は飽きてなかなかチェックできていないのですが、以前うちのブログで追いかけていた「子ども古事記プロジェクト」を運営する「神道の心を伝える」とも繋がりをもつのは、ちょいと節操がなさすぎかもしれません


……と、いろいろ中山貴英さんの交遊関係を洗っていきましたが、今現在ではまったく意味のない血筋を盾に人脈を駆使してセミナー商売をしている人物のようですね
皇族芸人の竹田恒泰をスケールダウンしたような人、といったところでしょうか

松沢成文議員の質問の背景には、こういうわけのわからない人物も関わっていた、ということです


余談


日ユ同祖論で有名な「神戸平和研究所」の活動報告に中山貴英さんのお名前があるのを見てビビる、の巻

つーか「神戸平和研究所」さん、神道議員連盟で講演しとるんかい……