公益社団法人 日本弘道会

日本弘道会は、福沢諭吉とともに明六社をつくった西村茂樹を会祖とする道徳振興団体だ。「道徳=ウヨ」という乱暴な定義ですら成り立ちそうな昨今の世相そのままに、濃厚なウヨ団体でもある
類似の名称の団体として山口組系の二次団体  「三代目弘道会」があり、ややこしいが、それはまったくの別物である

ホームページには、"百数十年の歴史"をもつ"わが国最古の国民道徳振興団体"と、さも歴史の長さを誇っているかのように書かれている
しかし、本邦において組織の歴史の長さが、むしろネガティブな要素たり得るのは、論をまたないところだろう
なぜなら大日本帝国と一体化し、侵略戦争に協力した団体である可能性があるからだ

いわば、大日本帝国の生き残り。日本弘道会は、まさにそうしたクソ団体のひとつなのである

教育勅語をはじめとする国家主義的な道徳・修身教育が、戦前戦中の日本人をひとりの人間から天皇の臣民につくりかえた。臣民意識は他国の者を蔑視することに繋がり、侵略の心理的障壁をとっぱらった。皇軍と化した軍人たちは、自他の区別なく命を投げ出した
そうした道徳による臣民化の一翼を日本弘道会は担ったわけである

参考:コトバンク

現代のウヨたちが道徳にーーひいては日本弘道会に群がるのは、大日本帝国のやり口に学んだ結果であろう


日本弘道会の活動


・出版活動
・研究活動
・教育活動

出版活動


会誌『弘道』の発行と西村茂樹の著作復刊が主な活動

『弘道』は発行から一年以上経過したバックナンバーがPDFで読めるようになっているので有り難い
(2019年2月18日現在、大正4年1月号~平成29年11/12月合併号がダウンロード可能)

戦前・戦中に書かれたものからは、大日本帝国と一体化した日本弘道会の姿が確認できる。恥部を隠さないところはエライ

近年に入ってからは、教育基本法の改正や道徳の教科化など、安倍政権によって実現されたものの特集が目につく
他に扱っているテーマは、反フェミニズム、親学、父性・母性、エリート教育、家庭教育、宗教教育、小中一貫教育など、ウヨウヨしいことこのうえないものばかりだ

いろんな資料に当たらなくても『弘道』さえ読み込めば右翼の教育観の全体像がつかめるかも……?

平成28年3/4月号特集「安倍内閣の教育改革を問う」が興味深い
巻頭言の「戦後の教育改革の流れ」は右派視線による戦後教育史がコンパクトにまとまっていているし、特集では加計学園問題で渦中の人となった加戸守行さんが教育再生実行会議について執筆している


研究活動(日本道徳教育学会について)


日本弘道会の会員は日本道徳教育学会に所属している者が多い
このため平成20年度から5年間、「修身」についての研究を共同でやっていた

日本道徳教育学会

ホームページの書籍紹介には、日本会議と足並みを揃えていることで有名なモラロジー研究所の本も堂々と掲載されており「あっ……(察し)」となる

日本道徳教育学会の会長は押谷由夫さん。後述する役員リストにあるように、彼は日本弘道会の理事でもある
さらに言えば、日本道徳教育学会の名誉会長である横山利弘さんは日本弘道会の特別会員だ

日本道徳教育学会は年に2回、大会を開いており、平成30年度秋季大会は金沢工業大学で行われた。このときの大会運営委員長は白木みどりさん。彼女は八木秀次さんのつくった道徳専門の教科書会社「日本教科書」で監修をつとめる人物だ
平成31年春季大会はモラロジー研究所の所属する麗澤大学で開かれる予定で「あっ……(以下略)



ちなみに全教協(全国教育問題協議会)のサイトhttps://bit.ly/2EUtRXHでは、日本会議や「時代を刷新する会」教育部会と並んで日本弘道会が協力団体のひとつとしてあげられており「あっ(略


教育活動


元教師らが研究結果を発表する「弘道フォーラム」とウヨ系著名人を招いての「弘道シンポジウム」がある
両者の模様は『弘道』に掲載されているので、興味のあるテーマは要チェックだ


弘道フォーラム

2007年から毎年8月に開催

第1回  道徳の授業
第2回  高等学校における道徳教育」
第3回  公徳心の養成をどのように展開するか
第4回  教科「日本語」の授業
第5回  公徳心の育成をどのように展開するか
第6回  人々の良心に訴え、公徳心の向上を図る
第7回  小・中・高等学校と地域社会との連携を通して行う道徳教育について
第8回  今こそ日本のこころ・西村精神の深化拡充を目指して
第9回  豊かな関わりや話し合いを重視し、家庭、地域との連携のもとに進める道徳教育
第10回  地域ぐるみで公徳心を育むために~実践活動を通して響き合う心~
第11回  義務教育における道徳教育のあり方
第12回「日本人の心」を求めて~郷土の先人から学ぶ~


弘道シンポジウム

1998年から毎年開催。なお、()の人名は基調講演者

第1回  心の教育を考える(西澤潤一)
第2回  再び心の教育を考える(三浦朱門)
第3回  日本人の忘れたもの(渡部昇一) 
第4回  家庭の訓育を考える(曽野綾子)
第5回  期待される日本人像(小堀 桂一郎)
第6回  父性と母性を考える(林道義)
第7回  公と私について(藤原正彦)
第8回  新しい社会ルールを求めて(中條高德)
第9回  日本弘道会創立130周年記念行事
第10回  今なぜ「親学か」(高橋史郎)
第11回  日本文化の源流を求めて(山折哲雄)
第12回  日本人の国家意識 (小田村四郎)
第13回  道徳教育の危機(渡部昇一)
第14回  大震災と日本のかたち (小堀桂一郎)
第15回  絆社会と日本人(長谷川三千子)
第16回  道徳教育の振興-学校における徳育の教科化を中心として- (渡部昇一)
第17回  美しく老いるために (渡部昇一)
第18回  今、家族の何が問題か (梶田 叡一)
第19回  グローバル化時代にどう向き合うか(渡辺利夫)
第20回  道徳教育の新たな展開-道徳科の創設-(押谷由夫)
第21回「日本の皇室を考える」-天皇階下の御退位を目前にして-(小堀桂一郎)

日本弘道会役員


『弘道』平成29年11/12月号より転載。肩書きは日本弘道会ホームページで確認。ホームページに肩書きが見当たらない者は、基本的に「人名&日本弘道会」で検索して出てきた『弘道』にある肩書きを使用。調べても出てこないor支部長などの人は肩書きを省略

いつもお馴染みのウヨ連中(八木秀次さんや高橋史朗さんなど)は特別会員に多い

なお、これ以降の人名に付記された()内は、その人物と関連のある他団体の略称である。略称との対照は最後尾にまとめておく


会長:鈴木勲  元文化庁長官
副会長:土田健次郎  早稲田大学教授

理事:
秋山富一  住友商事名誉顧問
生平幸立  元特許紙器社長
大澤幸夫元  放送大学学園理事
押谷由夫  武庫川女子大学大学院教授
木村治美  共立女子大学名誉教授(美)
高坂節三  公益財団法人日本漢字能力検定協会代表理事(美、啓)
澤英武  元産経新聞社編集委員(明)
多田建次  玉川大学名誉教授
菱村幸彦  元国立教育研究所長
古川清  元宮内庁東宮大夫
松平直壽  アローズインベストメントホールディングKK取締役会長
茂木友三郎  キッコーマン名誉会長
渡貫博孝  元佐倉市長

監事:
伊藤克巳  元住商ビルマネージメント取締役社長
伊戸川啓三 元金沢国税局長

参与:
荒木光哉  弘道会島根支会 会長
飯塚一雄  元島根県教育委員会事務局職員
小川義男  狭山ヶ丘高校校長・元「新しい歴史教科書をつくる会」理事
小野健知  道都大学名誉教授
貝塚茂樹  武蔵野大学教授(認)
杉原誠四郎  前「新しい歴史教科書をつくる会」理事長(認)
辻幸蔵
西村幸雄
藤原正彦  お茶の水女子大学名誉教授
古垣光一  元千葉県立保健医療大学教授
宮崎哲夫  元 遺珠刊行会社長
山𥔎隆司  元 晴海コーポレーション顧問

特別会員:
石川忠久  元二松学舎大学学長
石澤芳次郎  元拓殖大学学長
市川昭午  国立教育政策研究所名誉所員
市村真一  京都大学名誉教授・民間教育臨調顧問(明、認)
大内一幸  茨城県立那珂湊第一高等学校長
小田村四郎  明成社社長・故人(明)
甲斐睦朗  元国立国語研究所所長
加地伸行  大阪大学名誉教授(基)
梶田叡一  兵庫教育大学名誉教授・大阪府私立学校審議会会長(森友学園問題) 
加藤尚武  京都大学名誉教授
金杉光二
狩野冨𠮷  元島根県教育委員会事務局職員
川本裕子  早稲田大学大学院教授
菅野覚明  皇館大学教授
クライン孝子  評論家
河内朝夫
小堀桂一郎  明星大学名誉教授・日本会議副会長(明、認、啓)
佐藤禎一  元文部事務次官
白鳥正  西村茂樹全集編集委員
高橋史朗  明星大学教授(基、策、認)
高橋文博  岡山大学名誉教授
橘木俊詔  京都女子大学客員教授
田中英道  東北大学名誉教授(認、啓)
所功  モラロジー研究所教授(明)
戸辺好郎
林道義  元 東京女子大学教授
春山宇平  元 共立社印刷所社長
馬場萬夫
福原修
松本慶蔵  長崎大学名誉教授
宗政秀治
八木秀次  麗澤大学経済学部教授(認)
矢口孝
安田豊作 
山折哲雄  元国際日本文化研究センター所長
山本哲生  元日本大学教授
横山利弘  元関西学院大学教授
横山安宏  元全国連合小学校長会会長
若鍋尚志