結成当初は日本中のウヨ勢力が結集した感のあった「新しい歴史教科書をつくる会」

最近ではめっきり存在感が薄くなったこともあり、また、あまりにあんまりな百田尚樹さんらの台頭もあって、「相対的にまだマシ」という評価を得てきています
(ハッキリ言って同じ穴のムジナだと思うんですが)

そんな「つくる会」には、2000年代半ばに分裂騒動がありました

この件については細かい話がいろいろあるのですが、「2018年末現在なら最低限これだけ知っていればOK!」というていどの話を以下に箇条書きしていきます


・安倍晋三さん号令のもと自民党が党をあげて全面的に支援したにもかかわらず、2005年の教科書採択で惨敗した「つくる会」

・教科書発行のパートナーである扶桑社が「いくらなんでもウヨすぎるから駄目なんだ!」と怒る。藤岡信勝さんら「つくる会」幹部の一部がこれに反発

・すったもんだあって「つくる会」幹部は藤岡信勝派と八木秀次会長派で対立する

・2006年、八木秀次さんが退会(退会時の肩書きは副会長)。「つくる会」にいた日本会議の面々をはじめ、多くのウヨも八木秀次さんに続く

・八木秀次さんら退会組は「日本教育再生機構」をつくり、もとは「つくる会」のパートナーだった扶桑社と組んで教科書会社「育鵬社」を設立
ついで「日本教育再生機構」をサポートする「教科書改善の会」(会長:屋山太郎さん=現在の日本戦略研究フォーラム会長)もできる

・安倍晋三さんは、もともと懐刀だった八木秀次さん率いる「日本教育再生機構」を重用する

・安倍晋三さんからも扶桑社からも捨てられた「つくる会」は自由社と手を組んで活動を継続

・自由社は自由社でややこしい事情があるけど、有名ウヨの加瀬英明さん関連の会社と思っておけばOK
(会社概要。全然更新されてない……)

・分裂騒動の後の設立になるが、加瀬英明さんが主宰する「「慰安婦の真実」国民運動」は「つくる会」内に事務所がある
(スマホの人はデスクトップ表示にして最下段)

ついでに言えば「南京の真実国民運動」も「つくる会」関連

・分裂後から今日にいたるまで、「つくる会」と「日本教育再生機構」関係者は、盗作騒動をはじめとした抗争を繰り広げながらも、競い合うようにウヨ活動をしている


以上が、最低限これだけ知っていればOKというお話です

気を付けてもらいたいのは、分裂したといっても、どちらも同じ穴のムジナだということ

つまりは歴史修正主義者です

「つくる会」が他のウヨと比べて相対的にどれだけマトモそうに見えても、その主義主張はおかしいのです


また、「つくる会」に残った人間と去っていった人間の間には、個人的な繋がりがあります

組織として対立したとしても、個人同士なら話は別なわけです

「日本教育再生機構」の代表委員になりながらも自由社と「つくる会」を結びつけた加瀬英明さんや、「つくる会」顧問にとどまり続けている田久保忠衛さん(現在の日本会議会長)などがその代表例といえるでしょう

つまりは分裂したといっても単純な対立構造とはいえないわけであり、ここいらも気を付けてもらいたいポイントです

このことは、教科書盗作騒動(育鵬社が「つくる会」の教科書を、「つくる会」が育鵬社の教科書をそれぞれパクりあっていた騒動)の際に、「つくる会」の一部幹部が「育鵬社」との大同団結をはかっていたことにも象徴されるでしょう


最近の存在感の無さも、あるいは「つくる会」の計算なのかもしれません

なにしろ前述した「「慰安婦の真実」国民運動」や「南京の真実国民運動」のように、運動体を表に出して「つくる会」が裏で糸をひいている事例があるからです

両団体のホームページに堂々と「つくる会」の名前が載っているのは上記のとおりですが、両団体が新聞等のメディアに露出する際には、「つくる会」の名は隠されているのが常です

衰えたとはいえ、まだまだ悪名高い「つくる会」の存在は、一般層には隠される必要があるんですね

このあたりのやり口は、日本会議と非常によく似ています。日本会議から学んだのかもしれませんね


分裂時の状況をもっと深く知りたい人は、後日詳細版をアップする(かもしれない)ので、そちらを待つか参考文献をドゾー

2018.1.03.詳細版アップしました

参考:
俵義文『〈つくる会〉分裂と歴史偽造の深層: 正念場の歴史教科書問題』