志教育プロジェクト


志教育プロジェクト(http://kokorozashi.me)は、2014年に設立された民間の小学生向け教育団体である
2017年には志教育プロジェクトを側面からサポートするため教育再生実行連絡協議会(https://ksjrk.jp)が設立された

安倍政権直属の教育再生実行会議の一員である佐々木喜一さん(成基コミュニティグループ代表)が幹部であること、また、安倍昭恵さんや下村博文さんをはじめ多くの著名人がこのプロジェクトを応援している
(役員・賛同者については最後にまとめて列記します)

志教育プロジェクトの「公認講師」や「認定講師」を育成し、学習塾や学校教育に勢力を伸ばしていることから、今後の日本の教育界に大きな影響力を与え得るかもしれないプロジェクトである

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志教育プロジェクトのマンガテキスト。見よ、この自己啓発感!

志教育を一言で言えば「志をもとう、そして志をもつ友だちと繋がろう」という教育である
このため志教育のことを「志共育」ともいう

子どものころからその道一筋、同志とともに努力を積み重ねて成功したーーなーんていう「物語のように歴史を語る」タイプの、日本スゴイファンタジー満載な立身出世譚を鵜呑みにしたウヨい大人が考えそうな教育である

幼いうちから志の精神を注入される弊害は、佐々木喜一さん自身の例で明らかであろうに……

関連:【悲報】志教育を推進する佐々木喜一さん、父親から志を押しつけられ非行に走っていたhttp://payoyomaru.livedoor.blog/archives/14430192.html

志教育は子どもたちの視野を狭める点でも問題である
志教育では、志をもち、そこに到達するため今なにをしなければならないかを常に考えるよう仕向ける
すでに幅広い見識をもつ大人であれば有効な手法かもしれないが、無限の可能性のある子ども相手にコレはいかがなものだろう
世界の狭い子どもたちは身近な大人を参考にするため、早期のうちから己が道を定めてしまうのは、階級の固定化に繋がりかねない

また、志教育プロジェクトの根底には、半宗教・半異業種交流会の団体である「メキキの会」の教えが流れていることも問題である


出口光と「メキキの会」


メキキの会については以前書いたことがある

関連:「メキキの会」とはhttp://payoyomaru.livedoor.blog/archives/13872995.html

詳しくはリンク先を見てもらえれば、と思うのだが、ここでも軽く説明したい

メキキの会の会長は出口光さん。大本教の出口王仁三郎を曾祖父にもつサラブレッドだ

出口光さんは志教育プロジェクトの理事長でもあり、メキキの会の教えがプロジェクトに影響するのも当然と言えよう

また、志教育プロジェクト副理事長である佐々木喜一さんもメキキの会創設時からのメンバーだ
他にも多くのメキキの会関係者が志教育プロジェクトに関わっている

志教育プロジェクトにおいてメキキの会の教えがモロに出ているのが、「四魂の窓テクノロジー」と「氣脈」である。ガチでこのままの名前でプロジェクトのマンガテキストに出てくるから恐れ入る


・「四魂の窓テクノロジー」とは

"1300年以上前から伝わる日本古来の心の構造「一霊四魂」をもとに、行動科学の知見を取り入れて開発された、人間の本質を見るテクノロジー"
(メキキの会ホームページより)

"「四魂の窓」は、天と繋がる一霊と四つの魂からなる一霊四魂を元に、科学的にテクノロジー化された精神の構造です。四魂はそれぞれ「勇」「親」「愛」「智」と呼ばれています"
(出口光さんの還暦祝いに出版された電子書籍『ヒカルにひかれ』より)

……おわかりいただけただろうか?僕はよくわからない。僕にわかるのは、「一霊四魂」って大本教の教義じゃん、ということくらいだ

メキキの会ホームページやマンガテキスト、その他の資料を見ると「四魂の窓テクノロジー」というのは、
「人間には4つの特性があり、そのどれが強く出ているかで人間の個性が決まってくるよ!」
という教えのようである

どのへんがテクノロジーなのか僕にはわからないが、もしかすると僕の知らないうちに「テクノロジー」の定義が変わったのかもしれない

「四魂の窓」についてもっと詳しく知りたい人は、首相官邸ホームページで検索するとこのファイルが出てくるよ☆

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この渋いオジサマは「ヒカル博士」。実物の出口光さんがイケメンなため文句がつけられない

・「氣脈」とは

メキキ(本物を見極める目。目利き)を持つ者たちは「世界を良くしよう」という志を持ち、行動することになる。志を共有したメキキたちの繋がりを「氣脈」と呼ぶ
慣用表現の「気脈を通じる」をメチャクチャ拡大解釈した感じ

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志教育プロジェクトのマンガテキストについてーー豪華製作陣と擬似相関


さっきから画像を引用している志教育プロジェクトのマンガテキスト、実はすっごい豪華な作者たちによってできている

・シナリオ:小山高生さん(「ドラゴンボールZ」「聖闘士星矢」「タイムボカンシリーズ」などの脚本)

・キャラクターデザイン:松本零士さん(「銀河鉄道999」、「宇宙海賊キャプテンハーロック」など)

小山高生さんはメキキの会京都20周年で講演している
演題は「あなたの魂に元気玉」
……ドラゴンボールを最大限に活用しているようでなによりです
なお、小山さんには『元気玉―大人が変われば子供も変わる』という親学のキャッチフレーズ(親が変われば、子どもも変わる)と見紛うタイトルの著作がある

松本零士さんは志教育のアニメをつくるって言っていたのだが、続報はない


マンガテキストの凄いところは製作陣だけじゃない
効用もスゴイのだ

志教育プロジェクトによると、マンガテキストを読んだ小学生6年生25名すべてが中学受験に成功したらしい
うち12名が第一志望校に合格
マンガテキストを5回以上読んだ参加者の第一志望合格率は86%だ
スゴイ!
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(2017年度実績。https://bit.ly/2GsVIzPを参照)

……まあ普通にわかると思うが、この数字は擬似相関ってやつだ

つまり、25人の子どもたちが中学受験に成功したのは、子どもたち自身の努力の成果であって、志教育プロジェクトのマンガテキストのおかげではない可能性が極めて高い

こういうと「マンガテキストのおかげでやる気になったんじゃないか」と言われるかもしれないが、そもそもこの25人は「小六合格達成セミナー」なんてものに集まった子どもたちなのだ

もともとやる気は充分すぎるほどあったはずである

それほどやる気に溢れているのなら、むしろマンガテキストを読んでいる時間を勉強にあてていればもっと第一志望校合格率が高かったかもしれない(そんな詰め込みが子どもにとって良いことかどうかはともかく)

こうした擬似相関を使ったトリックは、怪しいダイエットの広告なんかでよく見る
よーするにそんな怪しげな業者と志教育プロジェクトは同レベルということだ


なお、合宿の様子は教育再生実行会議で報告されており、首相官邸ホームページからpdf をダウンロードできる。報告されているのは2016年度の合宿なので、まだマンガテキストはつかわれていないようだが、その自己啓発セミナー的な異様な雰囲気は確認できる

というか、マンガテキストを使っていない段階の合宿で報告のような成果が上がっているのであれば、それこそマンガテキストの存在意義が……

せめて未使用年度と使用年度の比較が示されないことには、マンガテキストの効用などわかりっこないのだが、そんなものはどこにもない
(もちろん比較があっても充分ではないのだが)

Twitter有志の活躍


僕の知る限り、志教育プロジェクトの危険性にはじめて気づいたのはTwitterの人だ

ガチな情報がつまっているので、この問題に興味があるなら↓のまとめは見ておいたほうがいい

志教育(志共育): 右翼と新興宗教とスピと安倍昭恵

志教育と日本教育再生機構との繋がり、安倍昭恵さんがメキキの会の会員であることなど、本当に凄まじいばかりの情報量だ

現在、安倍昭恵さんの名前は志教育プロジェクトのホームページから消えているが、アーカイブにはバッチリ残っている

まとめにおける僕のお気に入りエピソードは、佐々木喜一さんが「イジメを無くすには素手での便所掃除だよね!」と提言しているところ


このまとめが作成されて以降の重要な動きとしては、「第14回日本e-Learning大賞」特別部門賞受賞や「世界青少年「志」プレゼンテーション大会」があげられる

・第14回日本e-Learning大賞特別部門賞受賞
教育再生実行連絡協議会のホームページに詳しく載っているのだが、これはeラーニングで志教育の講師を育成するものだ
学校や塾の先生たちがパソコンとにらめっこしながら「一霊四魂とは何か……」とやっている姿を想像すると、なんだか泣けてくる

・世界青少年「志」プレゼンテーション大会
これは高校生たちに自分の志をスピーチさせるものだ
メキキの会がやっている「志ビジネスプレゼンテーション大会」の中高校生バージョンである
大会には下村博文さんも来たぞ、スゴイ!
主催:一般社団法人 志教育プロジェクト・世界青少年「志」プレゼンテーション大会実行委員会
共催:一般社団法人メキキの会
後援:読売中高生新聞(読売新聞社)  
協賛:一般社団法人教育再生実行連絡協議会 / 成基コミュニティグループ / サイボウズ株式会社


役員・賛同者


2018年12月19日確認

志教育プロジェクト役員(全員がメキキの会のイベントに出演していたり、会員だったりする)

理事長:出口光
副理事長:佐々木喜一
理事:有川一三(ジュエリーコレクター)
事務理事・事務局長:北見俊則(元中学校校長)
事務局長:東野りつ子(社労士)


執行役員
(http://kokorozashi.me/organization/より。執行役員までは書かなくていいかな、って思ってたんだけど、面白い人が多そうなので2018.01.03追記)

佐々木孝 (一般社団法人行請舎 代表理事、株式会社 身体機能研究所 CEO)
谷井玲 (株式会社エヌ・ティー・エス 代表取締役社長)
福原慎太郎 (成基コミュニティグループ代表特別補佐、株式会社成基総研21世紀型人財本部部長、一般社団法人教育再生実行連絡協議会幹事長)
松本康裕 (有限会社GENKI 取締役、合同会社 共育 代表社員)
レノンリー (一般社団法人 国際徳育協会 最高顧問)



志教育プロジェクト賛同者・特別顧問

・青木仁志(アチーブメント株式会社 代表取締役社長)
・稲吉紘実 (ポーランド国立ストゥシェミンスキー美術大学教授)-芸術顧問
・石橋良三 (広島県議会元副議長)
・大久保秀夫 (株式会社フォーバル創業者 公益資本主義推進協議会 会長)
・大倉正之助 (能楽囃子大倉流大鼓 重要無形文化財総合認定保持者)    
・岡田武史 (元サッカー日本代表監督 公益財団法人日本サッカー協会 副会長)
・小沢隆 (NPO法人 日本武道総合格闘技連盟 空手道禅道会 首席師範)
・尾上墨雪(日本舞踊・尾上流三代家元)
・小山高生
・鈴木寛(文部科学大臣補佐官 東京大学・慶應義塾大学教授)
・下村博文 (元文部科学大臣(第140・141代))
・前田比良聖(武道家、NPO武道和良久代表)
・松浦正人 (教育再生首長会議 会長 山口県防府市長)           
・松本零士
・山元雅信 (山元学校学長。学校といっても異業種交流会のようなもの。メキキの会顧問・アパの勝兵塾顧問)


志教育プロジェクト賛同首長

岩手県大船渡市:戸田公明
埼玉県東松山市:森田光一
埼玉県吉川市:中原恵人
東京都稲代市:高橋勝浩
長野県須坂市:三木正夫
福井県小浜市:松崎晃治
静岡県浜松市:鈴木康友
岐阜県羽島市:松井聡
滋賀県草津市:橋川渉
京都府亀岡市:桂川孝裕
大阪府東大阪市:野田義和
大阪府泉佐野市:千代松大耕
兵庫県相生市:谷口芳紀
島根県雲南市:速水雄一
山口県美弥市:西岡晃
岡山県高梁市:近藤隆則
徳島県美馬市:藤田元治
愛媛県八幡浜市:大城一郎
福岡県豊前市:後藤元秀
福岡県築上町:新川久三
鹿児島県鹿児島市:森博幸


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