市田ひろみ(いちだ・ひろみ)


"日本会議は、日本の良識の集団だ"

日本会議創立5周年(2002年)にこんな言葉を寄せたのは、服飾評論家として知られる市田ひろみさんだ

重役秘書→女優→美容室やら着物関係の仕事やらウヨい活動やらいろいろやっている人
といった経歴で、女優業を引退してからは、もはや本業がなにかわからない人になっている

あらためて調べてみると、大谷大学講師や近鉄百貨店顧問、京都経済同友会会員などもつとめていたことがあり、その活動範囲の広さには驚くばかりである

市田さんも自身のわけのわからなさは自覚しているようで、「古典の日推進委員会」のホームページにはこんなことを書いている

"「何が本職ですか?」と聞かれることがある。たしかに多くのジャンルの仕事をしているが、やっぱり日本文化の紹介というのが多い"

一般的にはACC全日本CMフェスティバル賞を受賞した、サントリーのお茶のCMで有名だろうか(三十路より下の人にわかるかな?)

当ブログとしては、彼女の幅広い活動から、ウヨいものだけを取り出して紹介したいと思う

……と言っても市田さんは1932年生まれな高齢者だ
もはやウヨい活動家としての全盛期は過ぎ去っていることは留意しておきたい


日本会議の広告塔として


冒頭に引用した言葉に象徴されるように、市田さんと日本会議の関係は深い

・日本会議の女性部である「日本女性の会」役員

・日本会議の関連団体である「美しい憲法をつくる国民の会」の代表賛同人

・これまた日本会議の関連団体である「民間憲法臨調」の代表委員

このうち「日本女性の会」での活躍は注目に値する
「日本女性の会」は2000年代のフェミニズムバッシング(いわゆる「バックラッシュ」)をした中心的団体のひとつであった

妄言にしか思えないようなバッシングでも、自身が女性である「日本女性の会」の人たちが「女性の目から見てもフェミニズムはおかしいですよ」と唱えれば一定の説得力を持ってしまい、非常に厄介だった
(ウヨい団体ーー特に宗教ウヨの末端は多くの女性に支えられている。このことは山口智美さんが指摘するところである
そういった事情もあるので、男性による差別に寛容な女性がいたとしても、そんな人の意見など聞く必要はないのだ)

市田ひろみさんのようなCMでおなじみの人が「日本女性の会」の一人としてフェミニズムバッシングの波に乗ったことの効果は計り知れないだろう

当時のフェミニズム本である『「ジェンダー」の危機を超える! 徹底討論!バックラッシュ』では、「日本女性の会」の一員として西川京子さん・高市早苗さん・長谷川三千子さんらと並んで名指しで批判されている


また、日本会議はそのときどきのテーマにあわせて別動隊をつくることで有名だが、そこでの活躍も見逃せないところである

・「夫婦別姓に反対し家族の絆を守る国民委員会」呼びかけ人


・民間教育臨調 代表委員


歴史と教育


市田ひろみさんは「新しい歴史教科書をつくる会」の元理事である
(「つくる会」分裂のときに八木秀次さんら日本会議派とともに退会)

関連:

「つくる会」から分裂して出来た「日本教育再生機構」でも、オピニオンリーダーとして声を寄せている
なんでも子どもに人格を認めたらいけないんだそーな

その他、「日本教育再生機構」関連としては、

「道徳教育をすすめる有識者の会」賛同者

「教育再生をすすめる全国連絡協議会」世話人

……などに名をつらねている


ジュニア日本文化検定「サッカーの起源は蹴鞠。これ常識な」


市田ひろみさんによる歴史・教育分野での経歴で、どうしても外せないのが「ジュニア日本文化検定 」推進委員会 委員長である(現在の「ジュニア京都検定」)

「ジュニア日本文化検定 」は門川大作京都市市長が教育委員長時代につくられた、いわば「京都検定」の子どもバージョンである
市田さんはジュニア検定創設時から推進委員長をつとめている

「ジュニア京都検定」と名前を変え、現在も続く「ジュニア日本文化検定 」だが、その始まり(2006年)は批判に満ちたものだった

批判されたポイントは主に3点

①京都市の小学生は強制的に受験させられる(授業時間中)
②市田さんが「つくる会」理事(当時)であること
③検定にあわせて小学生に配布されたテキストがひどかった

テキストのひどさは次の3点があげられる
当時のテキストが手元にあるので画像つきで紹介したい
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①企業のパンフレットかと見まがうほど、地元企業礼賛が多かった(特に京セラは裏表紙を占領)
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②歴史の負の面を一切見せない記述(「つくる会」教科書との類似点)
③歴史的に間違った記述や現実に則していない記述が多数存在する

③の記述について、いくつかあげてみたい

・テキスト「江戸時代、京都は『天皇のおひざもと』と呼ばれてたんだよ!」→そんな事実はない
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・テキスト「着物を着ると女の子はしぐさがやさしくなるよ!男の子は礼儀正しくなるよ!」→『カエアンの聖衣』かな?
・テキスト「『もったない』の原点は着物な!」→根拠なし
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・テキスト「サッカーの起源は蹴鞠」→いきなり起源主張かよ。これだから日本人は……
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と、まあ、こんな具合である

批判をうけて、その後テキストは改訂されたらしい
問題は、なぜこんな誤った記述が見過ごされてしまったのか、ということだ

その理由は、テキストがあくまでジュニア検定用のテキストであり、歴史教科書ではないことにあるだろう
歴史教科書であれば文科省から厳しいチェックがあるため、こんなことは起こらない

そういった意味では「江戸しぐさ」なる偽史が学校教育の現場で蔓延した理由と同じである
あれは歴史教科書のような時代考証によるチェックのない、道徳の副教材などで扱われていたのだ

今後、学校教育における愛国心教育、愛郷心教育はますます激しくなっていくものと思われる
その際、教科書以外の副教材で学ぶことも多いだろう
市民による教材のチェックは不可欠である


なお、門川大作さんは教育基本法改悪の際の参考人であり、第一次安倍政権の「教育再生会議」委員となのだが、それはまた別のお話

※この項目に関しては以下のサイトを参考にしました


その他ウヨ活動


親学推進協会 特別委員

放送法遵守を求める視聴者の会 賛同人