"皇室の権威が下がっていくリスクを感じます"

不敬ともとれる発言をしたのは、皇室ジャーナリストとして知られる高清水有子さんだ

平成元年より秋篠宮家を中心に取材を重ね、宮家にも出入りを許された数少ないジャーナリストの一人である高清水さん
彼女の発言の真意はどこにあるのだろうか?


発言媒体は「ツートップ」が運営する神社広報


神社界を支配する「ツートップ」の一人として恐れられている、神道政治連盟会長の打田文博さんという人がいる

この方、静岡県の小國神社という大国主命(大黒天)を祭神とする、由緒ある神社の宮司さんでもある

小國神社は、打田さんと国際レスリング連盟副会長の福田富昭さんとの個人的な繋がりもあって、有名女子レスリング選手が節分などの行事に参加したりするなど、イベントにも力を入れている神社である
小國神社のイベントには崇敬者である俳優の筧利夫さんも頻繁に参加している

ようするに小國神社は有名で集金力のある神社ということだ

そうした力のある神社ゆえか、小國神社では年に3回『玉垂』という冊子を発行している

バックナンバーは小國神社ホームページで配布されているので、暇なときにでも読んでみれば面白いかもしれない(特に50号記念では、「ツートップ」の一人である田中恆清さんや日本会議系憲法学者の百地章さんが寄稿していて興味深い)

問題の発言は『玉垂』53号(2018年夏号)に掲載されている


天皇が被災者相手に膝をつく→ありがたみがなくなる?


『玉垂』53号は、天皇陛下御即位30年奉祝記念の特別特集として、高清水さんによる「平成の皇室取材を振り返って」と題された小文を掲載した

そこに描かれているのは、天皇皇后両陛下による被災地訪問の姿である

思えば平成は災害の時代であった
災害があるたびに両陛下は被災地を訪れ、国民を励ましてきた

僕は個人的には天皇制に反対であるが、その献身的な姿に感じ入るときもなくはない

だがしかし、高清水さんはそこを問題にしているのである

"平成も残すところあと僅かとなりましたが、被災地で天皇皇后両陛下が国民の前で膝をつかれるのが、当たり前のようにとらえている国民も出てきています。これはとても危険な事だと思います"

では、なぜ危険だと高清水さんは言うのか?
このあたりの理屈がファナティックで、現代人にはちょっとピンとこないところなのだ

"雲の上の方が自らの御意思で私たちのところまで降りて来てお声掛けをして下さっているのです。(中略)スペシャルな事で、当たり前ではない畏れ多く有り難い事なのです"
"平成生まれの子供たちが、両陛下が膝をおつきになって国民を励まされる事が当たり前の姿だと思って育ったら、どうなるのでしょう。これは「諸刃の剣」ではないかと思います。皇室の権威が下がっていくリスクを感じます"

ようするに「らめぇっ!国民に膝をつかないでええぇぇっ!皇室の権威が下がっちゃうううぅぅぅっ!」ということなのだ

皇室をそこまで上に見ている時点で、なんとも狂気じみた時代錯誤だと言わざるをえないが、天皇皇后両陛下のやることにケチをつけているという意味では、不敬ととらえられても仕方のない話でもある


気持ち悪いくらいの皇室age


もちろん高清水さんは両陛下批判に終始しているわけではない

なにしろ彼女にとって皇室は"雲の上の方"たちなのだ
本当にあったのかなかったのか証明しようのない話で両陛下をageまくるのも忘れない

その話に出てくるのは、いかにも現代っ子な被災者
両陛下がもうすぐ到着するというのに、寝転がりながら小型ゲーム機を片手に「だるーい、うざーい」とテンプレな言葉を吐き出す、類型的な、あまりに類型的な女子中学生である

この女子中学生が両陛下と相対して、どうなったか

"その女の子は皇后陛下を目の当たりにして、目にいっぱい涙をためていたのです"

おやおや、目にゴミでも入ったのかな?
不思議に思った高清水さんは、涙の意味をたずねるべく、女の子に突撃取材を敢行する
いよっ、ジャーナリストの鑑

"「なんだかわからないけど、涙が出てきました」とその子は答えました"

これを聞いて高清水さんは御満悦

"先祖から受け継いできた日本人の遺伝子を持っている証です"

ななななんと!
高清水さんによれば、皇室を尊ぶのは日本人の遺伝子によるものらしい
ちなみに「遺伝子」や「DNA」といった科学的な単語をつかって、まったく科学的でない「神の臣民」を規定してしまうのは、日本スゴイの使い手がよくやる手口である

「遺伝子」だの「DNA」だの言いたがるのはたいていヤベエ奴だから、みんなも気をつけてね!


不敬とageの狭間で


不敬ともとれるような発言と狂気じみた皇室age

一見すると相反するふたつの主張の間には、なにがあるのだろうか

実のところ、高清水さんに限らずウヨい人たちには、天皇を敬う気はない

正確には、「天皇という神を敬う」ことはあっても「数多存在する人間の一人としての天皇」のことなんて、これっぽっちも敬っちゃいない、ということだ

だから天皇が護憲的な態度をとったりすれば「天皇は反日」などとのたまうネトウヨが現れたりするのである
こうした傾向がネトウヨだけでないのは2018年秋の靖国神社騒動の例でわかることだ

そんなことを考慮に入れると、天皇というのもなかなか可哀想な存在だとも思えてしまう


高清水有子とは何者か


高清水有子さんとはどういう人物なのか?

一言で言えば「皇太子sageの秋篠宮ageをよくしている人」である
秋篠宮さんに幻想をもっちゃうウヨが多い元凶のひとつだ

正直そこまで興味の持てる人ではないので、冒頭に書いた「皇室ジャーナリスト」以外の肩書きをあげてこの記事を終わりにしたい

・日本文化チャンネル桜キャスター

・安倍昭恵が発起人の一人に名を連ねる「一般社団法人日本女子力推進事業団」メンバー
チャリティパーティーでは司会をつとめた

・「生き物文化誌学会」会員(秋篠宮さんが発起人)

日本文化興隆財団評議員(神社界のツートップが役員をつとめる)

「『南京大虐殺』の歴史捏造を正す国民会議」呼びかけ人

・あと、これは肩書きではないが、八木秀次さんと一緒になって日本教育再生機構から『危ない!「子どもの権利条例」 家族が、学校が、日本が壊れる!』なんてDVDを出してもいる