神社本庁が職員用宿舎である百合丘宿舎(川崎市)を不正に安く転売した疑惑
神社界を強権的に支配する「ツートップ」の関与が疑われている
この不正疑惑を追及した神社本庁職員2人が不当な処分を受け、それぞれ懲戒免職・降格減給されたが、職員2人はこれを不服として訴訟を起こしている


経緯


2014年春:神社本庁で百合丘宿舎の売却話がもちあがる
提案したのは小野崇之さんと眞田宣修さん
2人は「神社界のツートップ」である田中恆清さん(神社本庁総長・日本会議副会長)と打田文博さん(神道政治連盟会長)の腹心たちであった

売却先選定を任されたのは、当時財政部長だった瀬尾芳也さん
売却先をディンプル・インターナショナル社にするよう神社本庁上層部から瀬尾さんに圧力がかかる
瀬尾さんはディンプル社への売却が「ツートップ」の御意向だと悟る

ディンプル社の社長は高橋恒雄さん
打田さんの元部下で、退職後も親密な間柄を維持している

ディンプル社が瀬尾さんに提示した買い取り額は1億8000万円
その後、瀬尾さんが日税不動産情報センターに査定を依頼すると2億2560万円~2億5550万円という値がついた

2015年7月:瀬尾さんは財政部長を外され、宿舎売却の責任者でなくなる

2015年10月:神社本庁評議員会は百合丘宿舎の売却先をディンプル社にすることを正式に決定。売却額は1億8400万円

2015年11月:ディンプル社は神社本庁から買い取った同日、不動産会社クリエイト西武に百合丘宿舎を即日売却。売却額は2億1240万円

2億1240万円-1億8400万円=2840万円の利益

2016年5月:クリエイト西武は埼玉のハウスメーカーに転売。売却額は3億1000万円

つまり神社本庁は3億1000万円-1億8400万円=1億2600万円も安く宿舎を売り払ったことになる

2016年5月:百合丘宿舎売却は不正だったのではないかという告発文が出回りはじめる。告発文を書いたのは稲貴夫さん(日本教育再生機構の機関誌『教育再生』で連載経験有り)

2017年8月:稲貴夫さんが懲戒免職。瀬尾芳也さんが降格減給

2017年10月:稲・瀬尾の2人が神社本庁を訴え裁判に
「新しい歴史教科書をつくる会」会長の高池勝彦さんが2人を支援するため「神社本庁の自浄を願う会」を結成する
神社本庁側の主任弁護士は日本青年協議会出身の内田智さん


問題点


1.ディンプル社に利益を与えるため、不当に安く宿舎を売ったのではないか

2.追及した職員2人は不当な処分を受けたのではないか

3.そもそも神社本庁では、不動産などの基本財産は処分してはならないルールとなっていた。やむを得ず処分する場合でも、競争入札する決まりである。
つまり百合丘宿舎の売却はルール違反だったことになるわけだが、瀬尾さんらには宿舎が基本財産であるとの説明はなかった

4.ディンプル社は日本メディアミックス社(レスリング界の福田富昭さんが創業者)の関連会社である(両方とも高橋恒雄さんが代表で、事務所の住所も同じ)
日本メディアミックス社はかつて『私たちの皇室』(現在の『皇室』)創刊をめぐり神社本庁と厳しい交渉を重ねた過去がある
多くの職員たちには日本メディアミックス社との関係を知らされないままディンプル社への職員宿舎売却が決まっていた
なお、『皇室』は「ツートップ」や内田智弁護士が役員をつとめる日本興隆文化財団が製作に携わっている

5.百合丘宿舎の売却を提案した一人・眞田宣修さんは、売却の数年前から秘書部長(当時)としての権限を利用して、百合丘宿舎入居したいという希望を握りつぶしていた。売却は長期的な計画だったということである
それでも売却時の百合丘宿舎には16世帯が残っていたが、これも眞田さんによって強制退去させられた

6.百合丘宿舎売却によって神社本庁は「危機管理用の幹部宿舎」として渋谷の高級マンションを購入
入居予定者は宿舎売却を提案した小野崇之さんと眞田宣修さんである
当初は2戸購入する手筈になっていたが、小野さんが「宇佐神宮乗っ取り騒動」のため栄転すると1戸に減らされた
なお、眞田宣修さんも百合丘宿舎売却騒動がもちあがった後に明治神宮禰宜(ねぎ。宮司の補佐)に栄転している


おわりに


ウヨ界での内部抗争は多い
その際、対立する相手を「あいつらは○○人だ!」「反日左翼の手先!」と非難する醜い光景が繰り広げられるのが常である

「新しい歴史教科書をつくる会」分裂を調べていると、なぜか中国人スパイがどーのこーのという話が出てきてウンザリさせられるものだ


記憶に新しいところでは、ウヨ系出版社である青林堂パワハラ事件がある。これもパワハラ被害を訴えた社員を非難するウヨの声がひどかった。この事件で労働者側の代理人となった佐々木亮弁護士は、後に弁護士大量懲戒請求事件に巻き込まれることになる
労働問題という点では、今回の神社本庁職員宿舎不正転売疑惑の事件と同様である

言うまでもなく労働問題に右も左もない
党派性や民族差別を表現する場所ではないのである

そういった意味では「つくる会」の高池勝彦さんが党派性に流されず労働者側2人の支援に回ったのは評価に値する(懲戒解雇を受けた稲貴夫さんが『教育再生』や『國の防人』に執筆していたウヨであるのを差っ引いても)


参考文献等
・藤生明『徹底検証 神社本庁』
・『週刊ダイヤモンド』2018年3月24日号
・「神社本庁の自浄を願う会」ホームページhttps://jijyo.jp/index.php